3 #2

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3 #2

走りながら見えた星空は相変わらず美しい。 その中央に輝く青い月には、白い光の陰りが見える。ブルームーンの青さが薄れていくのがわかった。 早く行かないと、沙紀が――。 過去へ戻れないと、沙紀が――。 僕は、歯を食いしばり、霞んでいく青い世界の中を駆け抜けた。 青い光に導かれることがなかったせいか、僕は森までの道を迷いに迷った。 一度目のブルームーンでは、迷うことなどなかったのに。 やはり僕は青い光に導かれて、過去へ戻っていたのだ、と確信した。 いつもの倍以上の時間をかけて、森にたどり着き、やっとの思いで茂みの中に入る。 山に入ると、風が変わっていた。匂いも違った。 あったはずの山道がなくなっていた。 一か月前、僕が歩いた山道と袖を濡らした木々の葉は、6年の歳月を経て大きく成長していた。 きっと、寮の子どもたちがいなくなったこの森は、活気をなくし、道を作る意味を持たず、ひっそりと葉と幹を大きくするしかなかったのだ。
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