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伸びた葉も、
変わった風も、
色を変えた森も、
すべて、今の姿だ。
じゃあ、どこへ行けば沙紀に会える?
どこが過去への入り口だ?
森の中を探し回るけれど、どこを探しても過去への入り口は見つからない。
色が変わらない。流れる風も、木々の葉も、冷たいままだった。
「沙紀……」
無意識に彼女の名を呼んでいた。
声を放ったその先にある、灰色に映る景色の中に、薄く引き伸ばされた青が見え隠れする。
もしかして……。
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