10人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
*
青く、蒼い世界の中にいる。
揺れ動く波、音のない静寂、全身から体温が奪われていく。
コポコポと音を立てながら、僕の吐いた息が気泡となって水面に向けて、真っ直ぐに登っていく。
僕は、泉の中にいた。
水面に映っているのは、大きな満月の影だ。
ブルームーンの影が映る水面がゆらりゆらりと揺れている。
その時、バチャンッという音とともに、水面に映る満月の影が半分に割れた。
そして、月の間から、スローモーションのように
一人の少女がゆっくりと落ちてきた。
最初のコメントを投稿しよう!