鼓動

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「美結、愛してるよ。」 「私も。」 「私も、何?」 「あっ! んん……」 「美結? どうした? 感じちゃった?」 時々、智くんは意地悪だ。 「やっ……あ……ああ! 智くん!」 「美結! 挿れるよ!」 それから彼は激しくなり、私は波に飲み込まれたみたいに翻弄されてしまう。 「感じてる顔、見せて。美結? 綺麗だよ。」 淡いフットライトの灯りに照らし出された智くんを見上げると、私に向ける眼差しは甘すぎるぐらい甘くて。 何度も何度も打ちつける熱に、私は溶けていく。 「うっ!」 私の頭を抱えるようにして果てた智くんが呻く。 滴り落ちる汗と、怖いぐらいに速い鼓動。 まるで『愛している』と叫んでいるみたいだ。 「智くん、愛してる。」 だから、私も伝える。鼓動ではなく言葉で。 こうして何度1つになっても、やっぱり伝えたいと思うから。 夫婦となったからと言って、きちんと伝えないとわからないこともあるから。 「美結、愛してる。愛してる。愛してる。」 熱に浮かされたように智くんが何度も繰り返してはキスをする。 そしてまた2人の呼吸は浅くなって、鼓動が高鳴っていく。 きっとずっと。 この愛は鳴り止まない。 END
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