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────────ちょっと父さん。あなたが出て行ってから、運気がおかしな方向に進んでいますが、どう責任を取ってくれるの?
美柚の精神は極限に達して、今度こそ現実逃避をし始める。
レンの背後に視線をやり、その奥にある窓から外を見る。
ああ、なんて夕日が綺麗なんだろう……
と、現状も思考もまるまる放棄を試みた。
沈みかけた夕日は、確かに一部をオレンジに染めていた。
だから、気付かなかった。遠くの空はもくもくと黒い雲で覆われていることを。
まるで、美柚の現状のように、暗雲が立ち込める未来を。
反応の鈍くなった美柚は、紅夜薗兄弟によって屋敷まで連行されたのだった。
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