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なぜか大きく目を見開いたかと思うと、続いて目をぱちりと瞬き美柚は笑った。
笑顔を向けられ、ジンは思わず歩みを止めた。
名前を呼べと告げてから、口調が砕けるようになった。心なしか態度も軟化している。
びくびくと敬語を使われるよりはいいのだが、あまりの切り替えの早さに思わず美柚を凝視した。
その視線に臆することなく、にこっと笑みを浮かべられ、軽く衝撃を覚えた。
例えるなら、自分の思惑を横から飛び蹴りされた感じだ。
不承不承そばに置いていたが、懐きだしたかと思えばこちらの距離感をあっさり超えてくる。それが、少しばかり腹立たしい。
そんな思考など見事なまでに鉄面皮の奥なので、何事もなかったかのように足を進め、会話を再会させた。
「じゃあ、誰だ」
「こうさんでしょ。みんなそう呼んでるし」
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