3-4 不安

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 その答えと表情で、老人の素性を美柚がわかっていないことを知る。  あれだけチンピラを従えているのだから、何となくはわかっているのかもしれないが、それを気にしていないということなのだろう。  老人も教えず、美柚も詮索せず、だけど確かに信頼関係がある。つくづく呑気で、そしてわからない女だ。  この際だから、監視してからずっと気になっていたことを訊くことにした。 「なぜ父親が失踪したことを言わない?」 「それは、……心配をかけるのが嫌だから」 「相手は頼ればいいと言っていたのに」 「……そうだけど。自分でもよくわからなくて。うまく言えない」 「そうか」  それっきりまたいつものようにジンは黙りこんだ。
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