4-1 謎の美青年と黒装束

27/27
前へ
/384ページ
次へ
   よくわからない名前で指名され目を丸くしたペラ男は、必死な様子の美柚に肩を竦めた。そして、眉根を寄せてレンを観察する。 「早く」  一刻を争う事態に何を躊躇(ちゅうちょ)しているのかと、美柚はペラ男を睨み急かした。  何か言いたそうに二人を交互に見て、ふぅと小さく息をつくと、ペラ男はレンを抱え上げた。 「君は?」  美柚は首を振った。ここがどこだかわかないが、まず瀕死の状態のレンが先だ。怪我もないので自力で帰るしかない。 「もう、しょうがないなあ」  何も対策がないだろうにゆるゆると首を振る美柚を、ペラ男はレンを抱えた反対側の腕で軽々と抱き上げた。 「お前たち、後の処理は任せたよ」  そして後ろに控えていた従者たちにそう指示すると、地面を軽く蹴りつけふわりと宙を飛んだ。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1114人が本棚に入れています
本棚に追加