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美柚は抱えられたまま周囲を確認すると、門先で群青色の瞳で前方を見据え、ジンが不機嫌に仁王立ちしていた。
美柚はすぐに出会えたジンの姿に安堵するとともに、彼のいでたちに目を見張った。
ジンの頬の下には痛そうな切り傷があり、その周囲は乱暴に拭ったかのように血がこびりついている。服も所々に破けていた。
どうやらこちらにも襲撃があったようだ。
ペラ男を睨み据え、彼に抱え込まれた美柚と血まみれのレンの状態を見て、ジンは眉をしかめた。
「何があった?」
「僕じゃないよ」
「わかってる。お前がレンにここまで傷を与えることができないことも、その気もないことも知っている」
ペラ男は複雑な表情をして、彼にしては真剣な口調で告げた。
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