4-2 月の光のもとで

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 それを美柚はぼんやりと、だが真っ向から受け止めた。やがて、ペラ男は柔らかく双眸を細めた。 「君はあのとき何をした?」 「えっ?」 「ふぅ~ん。……無意識か。ということは……」  ぶつぶつ独り言をいうペラ男を眺める。思考がまだ定まらない。  視線を絡めたままいたが、独り言を終えるとペラ男は頬に薄く笑みを刻んだ。  美柚はその間もずっとペラ男を見ていた。すると、見るからに、にこにことペラ男は微笑んだ。 「気に入った。また日を改めて」  そう言い残しパチンとウインクすると、ペラ男はすっと闇に消えて行った。
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