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美柚はしばらく誰もいなくなった暗闇を見つめていた。
晩夏と初秋が混ざり合うこの季節は、温度差は日によっても時間帯によっても変化が大きい。
夜はもう一枚羽織りを必要とする日が増え、今日はそんなに寒くはないはずなのに、ただ広く暗い空間に寒さを覚える。
ぶるっと身体を振るわせ、美柚はゆっくり立ち上がった。ペラ男の言葉を今は吟味している余裕はない。
「紅夜薗くん……」
……本当に大丈夫なのだろうか?
今になって働き出した思考に動かされるように、二人が消えて行った部屋を見つめ美柚は歩き出した。
周囲にどしっと重く永い時がまとわりつく。美柚はきゅっと口を引き結び、すんっと鼻をすすった。
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