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血が流れたから、血を欲す。単純だがそういうことなのだろう。
怖いと思うよりも、あれでレンは助かるのだと、美柚は顔を上げると安堵でほっと息をついた。
しばらくそこで所在なげに座っていると、ふらふらとジンが部屋から出てきた。
その姿を何気なく見送り、大丈夫だろうかと開けられた扉からレンの様子を覗いた。
レンはベッドの上にぐったりと横たわっていた。
目は閉じられ、異様なほど白かった顔色はいつもと変わらないほどまで戻って見える。よく見ると胸元が上下し、静かに規則正しく呼吸が繰り返されている。眠っているだけのようだ。
美柚は少し迷って扉をそっと閉めると、ジンの姿を探した。
階段を上っていたジンは、足取りが危うかった。
幾度か、ふらりと手摺に凭れかかり息をつく。なんだか今度はジンが重症そうだと、思わず彼の後を追いかけた。
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