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倦怠感に包まれた体を引きずるようにして二階の自室に戻ったジンは、力なくベッドに座った。
後ろに美柚の気配を感じてはいたが、それを振り払う気力は彼には残っていなかった。飢えるような苦しみに顔を歪めながら、後を付いてきた美柚を見据える。
「────レンには言うなよ」
本当はレンの傍にいたかったのだが、いつ目が覚めるかわからない兄に今の状態を知られたくなかった。変な負い目を持たせたくないのだ。
表情を引き締めて頷いた美柚をしばらく観察するように見たが、くらりと目眩を感じ、ジンはほうっと息を吐いた。
とにかく、休みたかった。その思いのままゆっくりと目を閉じた。
いつも泰然としている相手の、しんどそうに目をつぶった余裕のない様子に、美柚は心配の方が先に立ち躊躇いがちに訊ねる。
「……何か、できることは?」
深入りしない方がいいとは思う。だけど、苦しそうなジンを見ていたら、勝手に口をついていた。
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