4-2 月の光のもとで

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「ない。邪魔。出ていけ」  ジンは瞼を開けると、怠そうに美柚を睨んだ。  普段なら目を逸らすところだが、美柚は群青色の瞳をただじっと見つめ返した。  出て行けと言われて、苦しそうに息をしているのを見てしまっては放って置けない。 「水は?」 「──……俺もレンと一緒だ。今は血しかいらない。言っている意味わかるならさっさと行け」  お前に構っている暇も体力もないとばかりに、ジンは眉を逆立てて畳みかけると、ベッドにどさっと横になり話を終わらせた。  ジンの苛立ちと余裕のなさが伝わってくる。  部屋の空気がピリピリし、この場に留まることは相当勇気がいった。それこそ、全身が縮み上がりそうなくらい、怖い。
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