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「俺は、忠告した」
群青色の瞳が輝きを増し、窓から入る月明かりに照らされる中、ジンは静かに美柚を見据えた。
それでも美柚はそこから動かない。怖いから動けないのではなく、意思をもって動かなかった。
「お前……」
それっきり黙り込むと、ジンは美柚の瞳を真っ直ぐ捕らえた。確かめるように見つめられ、美柚はコクンと頷く。
ジンが立ち上がると、美柚の前に立った。
その気配を近くに感じると、あまりにも未知なことに恐くて声も出ない。身体は小刻みに震えたが必死で押さえつけた。
美柚は深呼吸した。
目の前の相手は人間ではない。頷いたけれど覚悟なんてない。だけど、どうしても放って置けなかったのだ。
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