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────まっ、吉永さんを突くのは楽しいし。
レンは愉悦にふっと笑みを浮かべた。
これからのことを思うと、自分の身も守れない者を傍に置くことは危険ではあるが、彼女を手元に置くと決めた時点で覚悟はしていたことだ。
それに、切羽詰まった状況までまだ時間がありそうだ。今からあれこれ考えすぎても仕方がないので、こうなったら楽しまなければ損だろう。
確認するようにちらっとジンを窺うと、彼も何も言わないことからして、彼女を傍に置くことに反対する気はないようだ。むしろ無関心でいられないのか、ずっと美柚の様子を眺めている。
レンは小さく口の端を緩め、彼女の持つ手紙をとんと弾いた。
「これで親公認になったわけだね」
その言葉に美柚はそろそろと視線を上げ、困ったように眉尻を下げた。
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