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深い色味を帯びた眼差しで自分を見つめる弟に、レンは微笑む。
どこまでも自分の味方であろうとする弟は、唯一、背中を預けることができるかけがえのない存在だ。
これからを思い、そっと彼の肩に手を置いた。
目の前の美柚は手紙にもう一度視線を落とすと、ふぅっと小さく息を吐き、それを丁寧に封筒にしまいだした。
続いて顔を上げると、憂いを帯びてはいるがレンたちをしっかりと見据えてくる。
その表情は真剣だった。ソファから床の上に座りなおすと、黒い双眸に決意を込めた光を乗せて、伸びていた背筋をさらにぴしっと伸ばすと、膝の前に手を置いた。
「改めて、よろしくお願いします」
深々と頭を下げ礼をする生真面目な態度に、今はこれでいいとレンは小さく笑い、頷いた。
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