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その言葉に肩を竦めたレンの冷ややかな眼差しは、質問の答えだけしか聞く気はないと告げている。
ジンも同感だと、ただじっと相手を強い眼差しで見た。
そんな失礼な双子の態度に久木は堪えることなく、のんびり口調で答える。
「よくわかったわねぇ」
「あなたくらいしか考えつきませんから」
「お褒めいただき光栄だわぁ」
「褒めてはいませんけどね。当初はあなたが何も考えず寄越したのかと思ったこともありましたが……。こうなることがわかっていたのですか?」
「まさかぁ。道を用意はしたけど選んだのはあなたたちだしぃ。それにしてもさっすが吉永さん」
口調が軽く、三十代の男にしては肌が整っているせいで若く見られる久木だが、彼の持つ独特の雰囲気がそうではないと語る。知的な顔立ちに銀縁眼鏡の奥にある瞳は涼しげで、大人の余裕を醸し出す。
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