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会話は兄にまかせて、ジンは離れた位置から少しでも情報を嗅ぎ取ろうと、久木の動作を逃さず見ていた。
だが、メガネの奥の瞳は口調とは別に何の感情も浮かばず、何を考えているかわからない。相変わらず、喰えない大人だ。
レンも相手の真意を測るよう見ていたが、ジン同様何も汲み取れないとみるや、話を少しずらした。
「なら、彼女の父親とあなたの関係は?」
「吉永さんを挟んで担任とその親、と言いたいとこだけど。そうねえ、ちょっとした知り合い? みたいな」
そこできゃはっと、照れたように笑う久木に、二人は白けた眼差しを向けた。
そんな可愛い子ぶっても、成人した大人で教育者という立場で、そのおネエ言葉もキャラなのか本当なのか怪しいところだ。それに、服の下には結構筋肉質の身体を持つ男だ。
そのどこを可愛いと思えるのか。
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