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────やっぱり、父に常識というものを叩き込む努力をしてくればよかった。
そんな、母親みたいなことを思う。
学校に通うようになって驚くことばかりの常識に、美柚はとても苦労したのを思い出す。自分の常識が、人様の常識ではなかったあれやこれやが、父の中ではまだ常識なのだろう。
そう思うと、それで良くここまで生活してこれたなとは思うが、やはり、あの父だからとしか言いようがない。
はぁぁぁっと大きく息を吐いた。
うっすらと白い息は風ですぐに掻き消える。
美柚は視線を落とし、風で足元に落ちてきた枯葉を眺めた。その枯葉がまたかさこそと移動するのを見ながら、それに、と考える。
それに、彼らはヴァンパイアである。
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