1-2 現実逃避、してもいいですか?

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「それよりも気付いた? 彼がこっちに来ているようだよ。遊びにくるかな」 「だろうな」 「そうだよねー。どうしようかなっ」 「無理はするなよ」 「僕がそんなドジ踏むと思う?」 「思わないが、油断は禁物だ」 「わかってる。心配してくれてるんだよね。けど、彼相手に無理も何もないから」  こっちも見ずにぶっきらぼうな物言いの弟の様子に、レンはこっそりと笑いを噛みしめる。   いつものことながら感情表現が乏しい弟は、考えをめったに表に出さないし、出す時は直球だ。そんな不器用な弟は、レンからしたら可愛らしい存在だ。  珍客と自分とジン。    どんな感じになるのかなと、どこかわくわくしている自分を感じながら、レンは門扉を押した。
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