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…………そんなに考えていることが表に出ていただろうか。
「そうだよ。吉永さん」
優しげに眦を下げたレンが、足を止め覗き込んでくる。
美柚も自然と足を止め、彼の瞳を見つめた。
その青い瞳は穏やかで、今は空の青みたいに澄んでいて引き寄せられる。いつもどこか観察するような視線は、冷たいものを感じ逸らしたくなるほどだが、今は温かみをも感じさせるものだ。
彼は小さく口元に笑みを刻み、朗らかな声で諭すように告げた。
「君の父親は僕たちからしても謎なとこがあるけど、親がここにいることを認めているならば、もう少し僕たちもそれなりの動き方ができるから。
吉永さんは気にせずこのままここにいてくれていいよ」
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