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そして高校一年のある日。
とうとう父は蒸発した。
この流れで?
それは誰もが思うところだが、娘は落ち着いていた。
こうなることを予想していたわけではないが、日頃から鍛えられた精神は、こんなことでは取り乱したりしない。
事実を受け止めるまで呆然と立ち尽くした後は、部屋をとっくりと眺め回す。
大家に話を聞きに行き、そして鞄をよいしょと抱え込むと、異様で異常で素敵な愛情を受け止め育った家を、娘は後にしたのだった。
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