2-1 釈然としない

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 矩斗の姿が見えなくなると、美柚は曇った顔で俯いた。  レンにしっかりと掴まれた手は、痛くはないが放してもらえそうにない。  ジンは無関心そうに歩いているが、一定の距離を保ちながらもずっと後ろにいる。  ここまでこれば、今更逃げようなどとは思ってはいない。  自分でも、どうして逃げるという発想がでるのかわからない。  だが、こうも行動を制限されるように囲まれると、気持ち的に追い込まれたような気分になるのは仕方がない。  ただ、理不尽だと思うよりも、この現状の疑問を突き詰めるよりも、美柚の心はすでに萎縮してしまっていた。  というより、疲れていて逆らう気もおきない。  ただ、釈然としない気持ちだけが残る。  全校生徒の視線が集まる真っ只中、そんな一抹の不安みたいなものを感じながら、美柚はなかば引きずられるように教室へと向かったのだった。
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