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「……偶然?」
仕方なく美柚が口を開くと、リーダー格の多分一級上の女生徒が、綺麗な顔を引きつらせて柳眉をきりきりと逆立てた。
「偶然? なら、なぜ手を繋いでいたの?」
……手を繋ぐ? 繋いでいたかな?
掴まれ捕われていた記憶はあるが、彼女たちが言うことに身に覚えがなくて、美柚は首を傾げた。
彼ら兄弟に感じるのは、怖い、苦手だという意識だけだ。
あの時も、一刻も早く彼らから離れることだけを考えていた。
文字通りの一飯の恩はあるが、昨夜彼らに捕まってからそればかりを考えていたので、細かな動作はいちいち覚えていない。
「覚えはないけど、紅夜薗くんに直接訊けばいいんじゃないですか?」
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