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美柚の前に立っていた女性徒──杉島は、去ろうとした美柚を慌てて制した。
杉島は本音を言えば相手をなめてかかっていた。
多勢に無勢。
卑怯だろうが何だろうが、結託した自分たち相手に、たった一人の小さな下級生が反発するとは考えもしなかった。
急に出てきて出し抜かれて、腹に据えかねている者同士。とりあえず、まとまって抗議しとけば気持ちも収まる。その程度のものだった。
なので、ちょっと強く出れば、自分たちの思い通りに言い負かせると思っていた。
小さな下級生は全てが小作りで可愛いといえば可愛いが、誰が見たって平凡な子だ。そんな平々凡々な子が、集団相手にきっぱりものを言ってくるとは考えもしなかった。
それが、蓋を開けてみたら堪えてないどころか、どこ吹く風で全く手応えがない。
空回りしつつあるのを薄々感じてはいたが、このまま引き下がることはプライドが許さなかった。
杉島は悔し紛れに、思いっきり下級生を睨みつけた。
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