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周囲の緊迫した空気に反し、美柚はのんびりと口を開いた。
「じゃあ、早く用件をすませてもらえますか」
「…………」
予想通りというか、勢いだけでここに来た彼女たちは黙ってしまった。
美柚は内心うんざりしながら、彼女たちの出方を待った。
さっさと去ってもいいのだが、別に喧嘩を売っているわけでも買っているつもりもないので、話し合いの姿勢だけは取っておこうと思ったのだ。
だが、いつまでも黙り込み戸惑うように顔を見合わせている彼女たちに、美柚もさすがにしびれを切らす。
もういいですか、と問おうと口を開けかけた時。
「あんたたち、美柚に寄って集って何してるの?」
良く通る明瞭な声が下から聞こえてくる。
その覚えのある声とともに、非常階段の下から現れたのは、中学からの友人である城ヶ崎多香子だった。
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