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「聞いた? この僕が避けられているって。それにあの子、意外としっかりしてるじゃない。屋敷では怯えた表情ばかり見ていて知らなかったけれど、あれが本来の吉永さんなんだ」
ジンは目をつぶったまま何も言わない。
それに構わずレンは喋り続けた。
「せっかく面白い子見つけたのに。学校、辞めちゃうんだ。そっかぁ……」
「レン。ぐだぐだ煩い」
「別に独り言だし? でも一日でも拾ったら気になるよねえ、ジン」
「……独り言じゃなかったのかよ」
「まあ、いいじゃない」
レンは太陽に照らされると金に見える前髪をかきあげて、視線を再び美柚たちに戻した。
散々騒いだ後、親友と静かに並んでいる美柚の後ろ姿を、レンは面白いものでも見るように眺めた。
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