2-5 それぞれの思い

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2-5 それぞれの思い

   ** * **   雨雲がすっかり消え、月が顔を出す。  屋敷と呼ばれるほどの大きな建物の上に、二つの影が見えた。  傾斜した屋根の天辺に平然と座っているのは、紅夜薗兄弟──レンとジンである。 「レン、あれで良かったのか?」  ジンは腕を支えに体重を後ろにかけながら、微笑を浮かべ遠くを見ているレンを見つめた。  いつもは鋭く相手を威圧させる群青色の瞳。それがレンに向けられると、その時だけは思慮深さを思わせる慎み深く重みのある色になる。 「駄目?」 「危険だな。あいつが言ったように記憶を消す方が手早い」
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