3-2 紅夜薗レン

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3-2 紅夜薗レン

   ** * **  ジンが諦めにも似た、何ともいえない思いにぐったりと疲れを見せたその日の夜。  レンはお風呂に浸かりながら、ジンたちのやり取りを思い出しふっと笑った。  あのジンが少し押され気味になって妥協した。本人に自覚はないだろうが、今日のそれは美柚を受け入れつつあるということだろう。  ジンは線引きが明確な分、それまでが排他的で興味も関心もなく、無愛想きまわりない。だが、一度受け入れた者に対してはそれを貫くことができない。  長年培われた処世術とはいえ愛想をふりまく自分より、ジンの方が情が深く優しいのだとレンは思う。  その鉄壁を突破する吉永美柚の存在は、本当に興味深い。  またその場面を思い出し、ふふっと笑みをこぼす。 「意外に本気で楽しいのは誤算だったな」
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