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3-5 心情
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美味なビーフシチューを堪能した夕食後のひと時。
いつもながらに美味しい料理に満足したレンは、話をどう切り出そうかと迷っていた。
自分たちの食後のティータイムのついでに誘って座らせた美柚の姿は、すっかりこの家に馴染んだように見える。
そんな彼女をあからさまにならない程度にしげしげと眺め、さてどうしようかと目の前のカップに口をつけた。
帰宅したジンから磐井組長の話とその後の様子を聞いたレンは、美柚の言動をそれとなく観察していた。
夕食を作る時はご機嫌に鼻歌を歌いながら作っていたし、料理を食べている時はこちらの反応をひっそりと窺い、美味しいと褒められるとほんのり顔を綻ばせるところは変わらない。
だが、ふとした瞬間に、例えば皿を片付けるため重ねるときや、洗い物をしているときなどに瞳に陰りが帯びる。
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