4-2 月の光のもとで

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4-2 月の光のもとで

   ** * **  月明かりの中、さっ、さっと影が移動する。  およそ人の力では上がれない高さ、そして滞空時間から見る地上を、美柚は気もそぞろに眺めていた。  見知ったはずの森は、上から見渡すと一層に闇としての影が強く押し出し、それでいて神域でもあるような清らかさをも感じさせる。その姿は見る者を殊勝(しゅしょう)な気持ちにさせた。  反対側に抱え上げられたレンに視線をやり、美柚は表情を(かげ)らせた。  ぐったりしたレンの顔色は真っ青で、それは異様なほど白い。そこに血がべたりとこびりついており、視覚的にも美柚を不安にさせる。  ジンの元に戻っても助かるかわからない。不確かな、ただ気持ちだけが急く状態に胸が苦しくなる。今も生きているのか死んでいるのかさえわからないほど、だらりとレンは手足を放り出していた。 「着いたよ」  一気に高度を下げ、ペラ男が屋敷の門の前に降り立った。
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