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1-2 現実逃避、してもいいですか?
レンは美柚の鞄を拾い上げると、改めて小さな珍客を歩きながら観察した。
クラスメイトとはいえろくに話したことがない少女と、まさか『家の前』で話すことになるとは思いもしなかった。
その上、食料が豊富にあるこの時代になぜか腹を空かせている。
真っ赤にして恥ずかしがる姿を見て、新種の小リスみたいに思えたほどだ。
まさに珍客。
こんな不思議で面白いものなら、少しだけ身近に置いてみてもいいとレンは考えた。
そんなレンの考えがわかったかのようなタイミングで、ジンが念を押した。
「少しだけだからな」
「わかってるよ」
不服であることを隠そうともしない弟に、レンはわかっていると笑顔で頷くと、話題を変えた。
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