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5-3 運命共同体
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二学期最後の帰宅時。美柚は気もそぞろに紅夜薗兄弟と歩いていた。
木枯らしが吹き、一年の終わりまでもうすぐだ。その現実が、このままでいいのだろうかと漠然とした不安を掻き立てる。
紅夜薗家で与えらた自室の引き出しにしまってある手紙を思い出し、ついでに紅夜薗兄弟の話を思い出し、美柚は憂い顔で溜め息をついた。
父が常識から外れた人であることを知っていたはずだが、今回のこれは認識を改めなければならないようだ。
外れたどころか常識というもの事態が存在していないのではないかと、恐ろしい考えが浮かぶ。
そうでなければ、手紙一つでぽんっと人様に我が子を預ける精神はどうしたものか。菓子折りなど、それなりの挨拶をすべきではなかろうか。
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