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ロリコンは犯罪です。
そんなジョークが真実になってしまうだなんて、数年前の俺は予想だにしていなかった。
昨年、正式に制定された「幼児性愛禁止法」。
いわゆる児童ポルノ禁止法を更に飛躍した新しい法律だ。
これはいわゆる、幼女を性的に見てしまうだけで犯罪という極端なものだ。
つまり、幼女を見てムスコが反応してしまうだけでアウトということだ。
逮捕されたが最後、去勢されて隔離施設へと送られる。
もはや、この国ではロリコンは存在してはいけないものなのだ。
申し遅れたが、俺の名前は山本サトシ。
いずれ、ロリコンマスターになることを公言していた男だ。
だが、それも去年までの話。
今は俺がロリコンであることがばれてしまうのは社会的にも生物学的にも死を意味する。
今や、町のあちこちにロリコン監視員が潜んでいるのだ。
監視員は幼女の皮を被って町を歩き、ロリコンを発見しては逮捕するという、悪魔のような奴らだ。
だから、俺の前を歩いている見目麗しい幼女に目を奪われたりしてはいけないということだ。
いや、それにしても可愛い。
二つに結った髪型に、清楚な白いワンピースから伸びる細い足。
素晴らしい幼女だ。文句の付け所がない。星みっつです。
あの子のためなら、俺はなんでもできる。
たとえ火の中水の中、あの子のスカートの中! スカートの中ァァァ!!!
と、紳士的に彼女の足を眺める俺と、幼女の視線が交差する。
もしかするとこれは、恋の始まりだろうか。
参っちゃうな。しかし、これは許されざる恋……! 恨むならこの世知辛い世の中を……!
「貴様……今、私の足をジロジロ眺めていたな?」
え?
幼女から飛び出した幼女らしからぬ汚い言葉遣いに、俺は目を丸くする。
「私はロリコン監視員・霞ヶ浦ノア! 貴様をロリコン容疑で取り調べさせてもらうぞ!」
ヒイイィィィ! ロリコン監視員だァァァ!!
ああ、もうダメだ。俺はこのまま逮捕されてしまう。
ホームタウンにさよならバイバイ。
俺はこいつと旅に出る(獄中!)。
観念の涙を流す俺に、ノアは舌なめずりをしながらゆっくりと近づいてくる。
ーーまさかこれが運命の出会いになるなんて、このときの俺は考えもしなかった。
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