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「そういう理由なら、何故妻は地獄に」
「ここでは理由は加味されないからです」
彼女の話によると、殺人者は理由の如何に問わず、地獄に落ちるそうだ。
ただし、その中でも一万年というのは最も軽いらしい。
ここで私はある札の事を思い出し、それを手に取ると彼女に差し出した。
「これは・・・いいんですか」
「はい。元はといえば私が原因なのですから」
その札は『分与』
他人が生まれ変わる日数を半分に減らすというものだった。
その代価は『時価(減らした日数分)』
「妻がこの先苦しむ事に比べたら…いや、比べる事さえも出来ない程苦しむのだろうから」
「そうですか」
生前も、死して尚、妻を苦しめてしまった。
私はせめて、来世では妻の話をちゃんと聞ける人になろう。
必ず来世でも見つけてみせる。
そして幸せにしてみせる。
まずは小さなコンビニから始めようか。
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