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「なんでもありか」
そう呟いた私に彼女は微笑みかけた。
「何からお話しましょうか」
何からって言われても、すでに私が死んでいることを最初に話したではないか。
「それもそうですね」
そう言って更に満面の笑みを浮かべている。
「心の声は聞こえますからね。なにしろここは」
「死後の世界、って言いたいんだろ」
ちょっと自暴自棄になりかけた自分に気づき、努めて冷静になろうと思った。
「そうですね、まずはここが何なのか」
どこからでもいい。とにかく全てを説明して欲しかった。
「本来、人は死後四十九日までに生まれ変わります。その人の過去の善悪によって、本人の意思とは関係なく、人外となって生まれるのか、人として生まれ変わってもその環境がどうなのかを取捨選択する事は出来ません」
までにという事は、もっと早く生まれ変わる場合もあるという事か。
「でも、ここではそれを選択することが出来ます。そう、生まれ変わる日数と引き換えに」
「つまり、どういう事だ?」
「あなたが先ほどのぞき込んでいた札、例えば『国籍変更』は、文字通り好きな国に生まれ変わることが出来る札です。ただし、その場合あなたは百日を支払わなければなりません」
「百日を・・・払う?」
「そうです。あなたは本来四十九日で生まれ変わる運命にあります。それ以外の選択肢はありません。でも、ここでその日数を百日延長することで、自由に生まれる先を選択出来るのです」
その横に『性別選択』があるという事は、次に生まれた時の性別も本来選べないという事か。
「その通りです」
また、心が読まれた。いや、今や魂でしかない自分に口などないのと考えるのが自然なのか。
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