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今思えば、確かに無謀な計画ではあった。
私の年収を増額するという事は、所得税も当然増えることになる。
当然それは、裕福な暮らしをしてきた家族達にもしわ寄せがくる。
彼らが国籍を認められるまでの辛抱だと言っても、それっていつになるのかと問い質されると、私は何も言えなくなった。
それでも私は信じたかった。この国の、日本人の慈悲深さを。
この事が全国に知れ渡れば、きっと国は動いてくれると、信じたかった。
「その思いこそが、あなたがここに導かれた理由ですよ」
そう言われたが、まだ道の途中だったのだ。
私のいない今、彼らはどうしてるのだろうか。
「ここにきて、まだ彼らの事を慮る気持ちを、これからも大切にして下さいね」
また心が…ってもうそれはいいか。
「では、ここで日数を払えば、彼らを何とか出来るのか?」
「それは無理です」
即答だった。
「ここで出来るのはあなた自身の事だけです」
「じゃあ、せめて下界を除く札なんてものは」
「ありません」
残念には思ったが、よくよく考えてみれば、見えたところで手を出せないのであれば、どうしようもないという事に気付き、私はそれ以上問うのを止めた。
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