5029人が本棚に入れています
本棚に追加
一が四つ並ぶから、企業が勝手にポッキーの日だと決めた。わざわざ俺とポッキーを食べよう、と思う理由が謎だ。
「今日、学校でポッキーゲームってのやったんですけど」
「何危ないことやってんの」
「え、危ないですか?」
「合コンとかでやるやつだろそれ」
「加賀さん合コンでやったことあるんですか?」
倉知の目の色が変わる。
「女の人と、やったんですか?」
「お前……、それは俺の科白だ。女とやったの?」
二人同時に相手に詰め寄った。笑い出すのも同時だった。
「すいません、あの、俺丸井とやったんです。男対女で」
「へえ、で、どうなった?」
「女子の勝ちです。俺も丸井もすぐ無理ってなって。女子ってすごいですよね、ギリギリまで余裕で我慢できるんですよね」
倉知がポッキーの箱を開封しながら言った。
「で、俺とやりたいって思ったの?」
別に今日じゃなくてもいいのに律儀な奴だ。
「先に離したほうが負けです」
ポッキーを一本咥えて、先を俺に向けた。確信犯的な罠だ。どっちも離すわけがない。
「じゃあいただきます」
ためらわずに口をつける。倉知の顔が、楽しそうに笑っている。お互いに食べ進めると、あっという間に距離が短くなり、そのまま唇が重なった。
最初のコメントを投稿しよう!