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このままでは仕事に支障が出る、と思った私は、ロッカールームで追っかけの子たちとバトルを繰り広げ、一対多数のハンデを負いながらも、勝利した。
というか、話を聞かない女たちに、最後の手段で土下座したのだ。
思いもしなかったであろう私の行動に、彼女たちは大いに引いた。引いた隙に、いかに彼が迷惑しているか、仕事への差し障りがあるか、営業部、延いては企業全体にダメージを与えかねないかを客観的に説明し、論破した。
次の日から、加賀君に対する猛攻は勢いを弱め、徐々に静かになっていった。
遠巻きに、静かに盛り上がる女子社員を怪訝そうに見ていた加賀君が、私の土下座を知ったのは数日後だった。
本当にすいませんでした、と彼は私に土下座した。
「そんなに簡単に土下座なんてするもんじゃないよ」
と私が言うと、彼は可笑しそうに、
「そっくりそのままお返しします」
と、笑った。
以来、私たちは親友というか、家族というか、不思議な絆で結ばれたようだった。
私が子育てで悩んだとき、彼は愚痴を聞いてくれ、彼が恋愛で悩んだとき、私が愚痴を聞いた。
入社から二年で悩みの種だった彼女と別れたとき、私は妙に安心した。
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