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「男が2人して何やってんだかなー…」
「…そうですねー。」
「カラ、棒読みすぎるだろ。」
「…そうですねー。」
「だから、棒読み……」
「…そうですねー。」
「……………。」
「……………。」
─ベッドの隣に置いてある椅子に座るヨシキと顔を見合わせて、2人して堪えきれずに笑う。
「あはははは!」
「ヨシキ、ご近所迷惑になります。」
「病院の?
そう言うけどカラこそ、さっきすごい大声で『聞きたくない』って叫んでたじゃん。」
「うっ……。」
図星ですし本当のことですから、また反論の『は』の字も出すことができません。
「それにしても…驚いたな。
カラがあんなに大声出したの、記憶がなくなる前のカラも含めて初めてかも?」
「そうなんですか?
それはすごいですねー。」
「…ちょ、カラ。
棒読みしてるけどお前のことだぞ。」
「分かってますよ、お母さん。」
「お母さんじゃありません。」
「…お母さん。」
「違います!」
「あははっ。」
─なんて、楽しいんだろう。
僕が今楽しいと思うのと同じくらい、もしくはそれ以上でも、ヨシキが楽しいと思っていてくれたらいいな。
「カラ、やっと笑ったな。」
「ヨシキのお陰ですよ。」
─あぁ、よかった。
ヨシキも笑ってくれている。
楽しいって思ってくれているんだ。
「…あとさ?」
「…?何ですか?」
ヨシキが少し言葉を濁らせて、何かの意を決したのか改めて僕の顔を真剣な表情で見てくる。
僕まで緊張してきてしまいます。
「改めるとなんだけど…。
カラ、言葉遣いタメ口にしてほしい。
勿論、慣れてからでいいけどさ。
一応言っておこうかなって…」
「……っ…な、なんだ…。
緊張しちゃったじゃないですか…
慣れられるように頑張りますよ…
…けど、でもまぁ……」
「…ん?なんだ?」
「…多分ヨシキに対してだったら、もうそんなに時間はかからないと思います。
今日、ヨシキが僕に対して思ってくれていることを聞けて…よかったです。」
「…そっか、よかった。」
ヨシキの安堵したような表情。
そんな顔を見ながら言葉を続けます。
「…あ、それと……」
「ん?」
「不安になっていたのは僕も同じですし、僕も、ずっと友達でいたいんですよ。」
─ヨシキの今日一番の嬉しそうな顔。
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