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伝説の陰に……
その後、皆が口々に語ってくれた話は覚えたくも無いけど脳に焼付いた。
ミスレジ打ちという、いかにレジ打ちでミスを自然に重ねられるかという戦いの勝者に与えられる称号があるんだってさ。ドジッ娘萌えとか言うものの流れを汲む組織だとかなんとか。
溝呂木順平は、最上位ランクの判定員資格を持っているらしい。大学近くのコンビニに凄いルーキーが現れたと聞き、日本記録達成を願って毎日通い詰めていたとのこと。
「恋をしていたんじゃないのか?」
「判定員がレジ打ちに恋? そんな話は聞いたこともない。厳正なる判定がブレたらどうするんだ」
もう良いです。
気持ちの悪い後輩へと格下げされた外木場の正体は、ミスレジ打ちフリーク。あちこちのコンビニを回っては、有望株を発掘し、日本記録達成をこの目で見るのが夢だったんだそうな。良かったな夢がかなって。もう死んでいいぞ。
「けど、溝呂木さんが判定員とは知らなかったなぁ」
「判定員は極秘だからな。お前らも、他言無用で頼むぞ」
言っても信じて頂けますかね?
言いませんけどね、色々疑われたくないし。頭とか。
「それにしても、お前も良くやったよ」
「は?」
握手を求められるいわれが無いんだが。
おいこら、強引に手を握るな気持ち悪い。
「お前の名前も歴史に刻まれるだろう。心配するな、俺が保証する」
いらないです。世界一欲しくない保証の称号を上げよう。
心配はいらない。間違いなくそのレベルでいらない奴だから。俺が保証するよ。
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