伝説の予感

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伝説の予感

 溝呂木順平がレジ前に立つ。もちろん、例の野間夕見子が迎える。 「いつもありがとうございます」  まず一礼。それだけで彼の顔がだらしなく緩む。  ごくり、と喉を鳴らしたのは外木場だ。  オレンジ色のカゴを手に取り、それを腰とレジ台のへりで挟み込む。台が狭いんだな。 「……マジかよ」  そんなに驚く事かね、外木場君。  彼女はスキャンを始める。その最中に、溝呂木順平が口を開いた。 「焼きそばドッグ、温めてください」 「あ、はい」  彼女はそれを手に取り、背後の電子レンジに入れるため、くるりと身を捻った。  ガシャン。  当然カゴが床に落ちる。 「あああ、すみません!!」  何というドジ。 「は……反転……カゴ落とし? だと?」  ん、何? 今なんて言った?  野間夕見子は焼きそばドッグをレンジに入れてタイマーをセットしてから、慌ててカゴを拾う。どうやら、中身はぶちまけられなかったらしい。  ていうか、あの焼きそばドッグ、レジ通って無くないか? 「会計前の加熱(ノーレジレンジ)!? コンボするのか?」 「お前は何を言っているんだ」     
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