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「何って……彼女ですよ。反転カゴ落としも会計前の加熱どちらも難度の高い技です。それをコンボさせるなんて……」
解説を受けても何が何やらさっぱりな不思議。
会計は進む。
「ええっと、合計三点で……」
レンジが過熱終了を告げる。振り返る野間夕見子。レジ台に三点。レンジの中に一点。小学生でもわかるが、足したら四点。
「あれ?」
「あ、焼きそばドッグ、レジ通っていないのでは?」
「あ、本当だ。す、すみませぇん」
半泣きの野間夕見子。溝呂木順平はニタニタ笑っている。あいつ、確信犯か。
慌ててレンジを開ける彼女。あんまり慌てると……。
「あちちっ、落としちゃった……か」
外木場がボソッと呟くのと、野間夕見子があつっと声を上げるのは同時だった。
我々の見ている前で、焼きそばドッグは一瞬宙を舞い、そして落下していった。耳たぶを触っている野間夕見子は、慌ててそれを拾い、もう一回あつっと言いながらぺこぺこと溝呂木順平に謝り続けている。彼の方はにこにこしたものだ。
「すぐ、お取替えいたしますね」
「おいおいおいおい。まさかまさかの……?」
外木場は白い光に照らされたサンドイッチ系の棚に目を向ける。
「品切れかよ……」
焼きそばドッグはもう一つも残っていなかった。
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