伝説への希望《のぞみ》

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伝説への希望《のぞみ》

 名札には店長と書かれている。要するに店長なんだな、ここの。 「やあ店長」 「凄いでしょう、あの子。入店してまだ一ヶ月ですが、すでにあのクラスのコンボを十度以上決めています」  それは……ただの役立たずなのでは。 「期待のルーキーってのは間違いなかったようですね」 「ええ。こうなれば、日本記録の六コンボを是非目指して欲しいもんです」  客、怒らないかな? 大丈夫な奴? 店長がそんなこと、期待していいの? 「それは……それが見られたら、もう思い残す事は無いかもしれませんね」  いやいや、あるだろ。たくさんあるだろ。お前、まだ大学生じゃん。 「それに外木場さん。今日来たのはラッキーですよ」 「ラッキー?」 「あなたなら分かるはずです。袋菓子、野菜ジュース、カップ麺」 「そうか、焼きそばドッグが無くなったから……。合計四百五十四円……。五コンボなら日本記録タイ」  何で二人だけで盛り上がってんの?  俺も混ぜてよ。混ざりたくないけど。でも、寂しくなってきたよ。 「お会計、四百五十四円になります」  二人とも気持ち悪い。  何で正解が分かるんだよ。 「なあ、さっきからさっきからその日本記録って何なの?」  俺が尋ねると、二人は同時に俺の前に掌をかざした。 「すみません先輩、ちょっと黙ってて貰えますか」 「そうですぞあんた。タイミングってもんがある」  ぐぬぬ……腹立たしい息の合いっぷりを見せやがって。  だが、そんな俺の怒りなど正にどこ吹く風。
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