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母屋にあがると親戚が
声を掛けてきたが、
屑男は無愛想に
適当な返事をするだけだった。
しかし屑男は雰囲気が
少しおかしいことに気づく。
なぜか親戚のおっさん達が
妙にそわそわしていた。
時々ひそひそ声で「犬」と
言っているのが聞こえた。
しかし、興味がないので、
屑男はすぐに気にしなくなった。
しばらくして屑男が
トイレに行くと、
台所からなにやら
声が聞こえてくる。
「ほら、
いい子だから、こっちにおいで」
「なんにしもしなから」
屑男が台所を覗くと、
親戚のおっさんが慌てふためいた。
まるでなにかやましいことでも
していたかのようだ。
おっさんは慌てて屑男に
言い訳をしはじめた。
「いやぁ、
犬女なんて珍しいだろう」
「珍しくてつい、
かまってしまってね」
屑男が目をやると、
台所の片隅には、
犬女が尻尾を振って
座っていた。
犬女。
見た目は人間の女と
ほとんど同じだが、
知能が犬並み。
犬の耳と尻尾を生やし、
手足は犬。
言葉が通じず
道具も使えないため、
社会からは
犬と同じ扱いを受けている。
犬女は黒髪のショートヘアで、
ホットパンツと
ヘソと胸の谷間が見える
デニムのノースリーブを着ている。
おそらく、死んだおばあちゃんが
飼っていた犬女なのだろう。
犬女はハッハッと呼吸しながら、
尻尾を振っている。
そして、その大きな瞳で
屑男の顔をじっと見つめていた。
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