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「どーうーぞー」
妖精みたいな甲高い声がして
バスルームのガラス戸が細く開いた。
「ア……アアア……」
ガラス戸の向こうから
立派な羽飾りのついた孔雀の面がのぞく。
精巧な作りの不気味さと
こんな場面を見られてしまった恥ずかしさで
僕の背筋は凍り付いた。
「いやっ……見ないで……いやぁっ……!」
宝石で縁取られた瞳は
仮面の奥から射抜くように
じっと僕の醜態を見つめている。
「おい、悪ふざけはやめろ――」
由莉が振り返り牽制するように言うと
「――ベッドルームで待ってる」
仮面の奥
くぐもった声で笑って
孔雀のお化けはいそいそと戻って行った。
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