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ベッドルームへ向かう暗い廊下。
由莉は前を歩き、終始僕に背を向けていた。
だからその気になれば
僕はいくらでも逃げ出すことはできたんだ。
全力で逆走し玄関へ。
門をこじ開け暗い山道を逃げ出せば
見つけ出すのは不可能だ。
きっとできたと思う。
由莉にもそれは分かっていたはずだ。
何度もイメージトレーニングのように
自分が夜道を逃げる場面が頭に浮かんだ。
だけどなぜだろう。
僕の身体は歩みを止めず
自分を慰み者にしようとしている男の後を
ぴったりとくっついて行った。
正直
ここが運命の分かれ道だった気もする。
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