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確か、仕事帰りの交差点で黄色信号をスピードを上げて通過しようとして……。
右から信号無視の車に突っ込まれそうになって……。
「思い出してきましたか。」
「はあ。少しずつ。」
同じくらいのスピードで目の前の女性も見えてきた。
どこかで会った……?
「はっきりと思い出すまで待ちますよ。なんせ時間はたっぷりありますからね。」
また紳士的に笑った。
あ。思い出した。
その車を避けようと、ハンドルを左に切って、そこには電信柱と……。
その時、記憶と視界がはっきりした。
「思い出しましたか。」
「あ、あ。」
声にならない。
目の前には顔と体が血塗れになった女性が笑顔で、僕のことを瞬きもせずに見ていた。
その紳士はまた紳士的に言った。
「さて、どうしましょう。」
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