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「このアパートの2階だよ」
マコトは洒落たアパートを指さして言った。
新しく清潔そうな雰囲気なのに、俺はなぜか寒気を感じて身震いする。
「そういえば、言ったことあったっけ?この下、殺人事件の現場になった部屋なんだぜ」
マコトは楽しそうに言った。
「やめろよそう言う冗談、笑えないぜ」
俺は思いがけず低い声で言う。
「はは、びびんなって。俺ここに住んでておかしなことは何も起きてないからさ」
「え、冗談じゃないのか?」
カケルも眉を顰める。
「まぁな。部屋は違うから、家賃安くなったりはしないけど」
「か、帰る!!」
俺は堪えきれず叫んだ。冗談じゃない。
「なんだ?ケイはビビりだなぁ」
マコトは呆れたように笑った。
「俺も帰るよ」
ところがキセキも俺の肩を持ってくれた。
「キセキまで……」
「お、俺心理学のレポート終わってないの思い出したからさ、ほんとゴメン!!」
俺は一刻も早くこの場を離れたくて、明らかな嘘をつく。
「俺も同じく、悪い」
キセキもそれに乗ってくれた。
「なんだよお前ら……」
マコトはつまんなそうに顔をしかめた。
「まぁまぁ、ホラー系ダメなヤツもいるって」
カケルがマコトをとりなしてくれていた。
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